( 5/ 6[土])待ちに待ったゴールX2

今日のスタメン(試合開始時)
平瀬柳沢
ビスマルク
中田小笠原
本田
相馬ファビアーノ秋田名良橋
高桑
 
今日のスタメン(試合終了時時)
本山
増田熊谷
ビスマルク小笠原
本田名良橋
中田ファビアーノ秋田
高桑
 ジュビロ戦はいい試合になる。僕はこのカードをイタリアのユベントス−インテル戦のイタリアダービーにまねて日本ダービ−と呼んでいる。チームの状態(たいていの場合アントラーズが落ち込んでいるのだが)に関わらず、毎回白熱した好ゲームになる。今日の試合も前の見にくい試合が嘘のように生まれ変わったアントラーズは好ゲームを展開した。ゲームは首位のジュビロよりもむしろ、もたついているアントラーズの攻勢な展開で始まった。

 柳沢と平瀬が前線でポスト的な動きをすることで、数多くのチャンスを作っていく。小笠原が去年ジュビロにつぶされた借りを返すためなのかエンジンがいよいよかかったきた。今日の小笠原はゲームをコントロールする役割を存分に発揮していた。先制点はそんな彼らから生まれた。右サイドで多少無理な状態にも関わらず、平瀬が必死にボールをキープ、マイナスに小笠原にパスを出すと、見事なドライブシュートで小笠原はゴールを狙う。相手DFはこのシュートを枠の外と見たのか、追いかける気配はない。キーパーを越えるとボールは急降下とまでは行かないが、ゴールに向かって落ちていく。後10cmでゴールだったボールはバーに当たって、跳ね返る。このボールに反応したのはジュビロDFの止まった足を無視して走り込んだ柳沢だった。ルーズボールに対して向かうのは柳沢一人、柳沢は簡単にヘッドで合わせて今期初ゴールをやっと手に入れた。それにしてもジュビロ戦での柳沢は違う。このジュビロのホームでハットトリックを達成した事があることも相性のよさを示している。

 しかし、いいことばかりでもない。セレーゾ監督は選手交代ではなかなか興味深い采配を見せたが、どれもワンテンポ遅い気がした。しかし、それはあまり大きな問題を引き起こさなかった。何よりも気になったのは、今日、中山をマークしたのがファビアーノだったこと。ここ数年、左右ポジションが逆とは言え、中山のマークは秋田と相場が決まっていたのだが、今日中山の相手をしたのは有能な新人ファビアーノだったのだ。ファビアーノは確かにいいディフェンダーだ。しかし、彼はまだ「Jリーグでの」経験が少ない。彼は下手くそなのにゴールは量産できる中山を理解していなかったようだ。ポイントポイントで彼をとらえられないファビアーノはついにはゴールを許してしまった。秋田なら大丈夫だったはずとは言わないが、中山対策に慣れた秋田をぶつけた方が安定感はあったのではないだろうか?

 後半には名良橋のラッキーとも言えるファインゴールで引き離したものの、最近のアントラーズはリードすると安心してしまうのか、逃げ腰になってしまうのか、急に動きが鈍くなる。名良橋のゴールの次のプレーでゴールを奪われ、同点にされてしまった。しかし、それからのアントラーズは目が覚めたかのような集中力でジュビロの分厚い攻撃もシャットダウンしていた。

 延長戦に入り、徐々に両監督がカードを切っていく。アントラーズはFWに控えを持ち合わせていないので、苦しい選手交代となったが、これがうまくいった。途中交代した本山、増田は久しぶりの出場でいきいきとしていた。FWがいるのか謎な3バックで、超分厚い中盤を作りボール奪取後はあまり選手が動くことなく、ボールをつないでいく。ジュビロにPKが与えられる場面があったが、高桑が最高のファインセーブを見せた。敗戦同然の状況からはい上がったアントラーズ。そして、前に唯一張っている途中交代、今期初出場の本山が大きな仕事をやってのけた。相手DFを引き連れながら、キーパーをかわし、角度のないところから流し込むように打ったシュートが決まり、VゴールのJリーグ初ゴールを決めた。あの場面でも物怖じせずに自分でシュートを打っていった本山はさすがだった。平瀬の技術では枠をとらえられなかったし、柳沢なら誰もいなくてもパスをしていた場所だった。本山は最高のアピールを監督にした。

 優勝には遠いものの、アントラーズは価値のある勝利をモノにした。ジュビロに勝ってから本来の力を取り戻す。そんな展開を過去に体験した気がする。実際、そんなことを期待させてくれる試合内容だった。待ちに待った2つの初ゴールを入れた柳沢と本山は今後の大きなポイントになるはずだ。柳沢が今日のようなあきらめない動きを見せてくれればチームはどんどん勝利を重ねるはずだ。本山が今日のような高い技術を披露してくれればチームの選手層は昔のように分厚くなるはずだ。この2選手が大きな鍵を握っている事は間違いない。

高桑 8 今日の勝利の立て役者。延長戦のPKストップは圧巻。2失点に責任はない。
相馬 6 攻守共に無難にこなす。
ファビアーノ 6.5 安定した守備を見せたが、中山を押さえきることができなかった。
秋田 7 守備を完璧にこなした。中山のマークは彼がつくべきだった。
名良橋 7.5 ゴールを含めて攻守に貢献、チームのダイナモとして欠かせない。
本田 6.5 カバーリングなど、チームのバランスを取っていた。
中田 7 ミドルシュートを打つなど、安定した力を発揮。
小笠原 7.5 パス、ドリブル、全てを高いレベルで見せた。
ビスマルク 6 悪くはないがまだまだ迫力不足。
柳沢 7 ゴールを奪った動きも良かったが、チームのチャンスを演出。
平瀬 5.5 先制点は彼のキープから生まれたが、数多くのとラップミスでチャンスを台無しに。
熊谷 6 疲れた味方と交代出場、いつもと違う難しい役割をこなした。
本山 8 出場してスグにゴールを狙い始め、最後は角度のないところからのVゴール
増田 7 交代後は積極的に動きまわりいい流れを作った。