( 9/23[月])柳沢に思うこと

柳沢がおかしい。最近に始まったことではないが、おかしい。何がおかしいのか1つずつ整理していこう。

まず、柳沢の技術は決して低くない。シュートも下手なわけではない。これはルーキー時代から彼を見てきた人間なら誰もが知るところだろう。彼の卓越した技術とシュートセンスは当時の鹿島サポーターの誰もを魅了した。彼の人気は決してフロントのイメージ戦略によるものではないし、ルックスによるものでもない。サポーター達はまだ若い彼のこれからどれほど伸びてゆくのか想像もつかないその可能性を感じさせる若くして持っていた技術の高さに魅了されたのだ。

当時の柳沢は打つシュート打つシュートの全てがそれまでの日本人とは違う感覚にあった。それまでの日本人はゴールを奪うためにゴールに向けてとにかくがむしゃらにシュートを打った。しかし、彼はGKに触られることなく確実にゴールを奪えるように自らシチュエーションを作り、そしてジーコの教え通りにゴールに確実にパスをした。そのスタイルは遂に日本に生まれた世界で通用するFWを予感させた。

しかし、現在の柳沢は苦しんでいる。彼はいつからか「得点を取れなくてもチームの勝利に貢献できるFWになりたい」と言い始め、クラブ、代表に限らずチームの攻撃の組み立てに欠かせない選手へと生長した。しかし、その安定した攻撃の組立の巧さと引き替えに得点を重ねられなくなってしまったのだ。ゴール前でより確実にシュートを放てる選手を探し、自分よりも良いポジショニングをしている選手にボールを託した。

だが、その柳沢にも変化が訪れる。今シーズン2ndステージ頃からか、ゴールをどん欲に狙っていくようになってきた。しかし、シュートは枠をとらえない。枠をとらえないのはおそらく、GKに触られないコースを狙っているからだが、枠に飛ばなければGKに触られようと触られまいとゴールは奪えない。

FWとしてゴールが奪えないと言う結果に対して批判を受けることはしょうがないかも知れない。しかし、僕は彼がゴールを奪わなくてもチームの勝利に貢献する働きをしているのならば構わないと思う。なぜならば、彼が入団した96年からアントラーズは6年間で4回の年間優勝を果たしているからだ。ステージ優勝を含めればノンタイトルで終えた年はたったの1シーズンだ。この結果は彼1人によってもたらされたわけではないが、彼がどのシーズンでも重要なキープレイヤーであったことは間違いないのだ。彼ほどチームに結果を残しているFWはJリーグには誰もいない。彼が優勝に導いてくれるならば、僕は彼がゴールを奪おうと奪わまいと関係なく彼を応援し続けるだろう。

ただ、ゴールを奪えず、優勝が手からこぼれていくようならその時は容赦ない批判をするべきだ。彼の選んだプレイスタイルは自分の結果ではなく、チームの結果を見て欲しい、そういうプレイスタイルなのだから。