( 5/11[日])結果を出せなかった本山は

5/6の連載で書いたが、結局大分戦で本山は結果を出せなかった。チームを勝利に導くどころがもう少しの所で連敗に導いてしまう所だった。大分戦では本山を除けば、青木の復帰も含めてフルメンバー。連勝時に比べて平瀬に変わって柳沢までいるおまけ付きである。本山が自分の存在価値を証明するのにシチュエーションは申し分ないはずであったのだが…。

本山のプレーの問題点については、前回も書いたとおり簡単にプレーをしていい場面で難しいプレーを選択してしまう所にやはり、結論がたどりつく。この様なプレーは一見、エウレルの無謀な突破と同類に感じるかも知れないが、両者のプレーには大きな違いがあることを今回は両者の分析を通じて説明していきたい。

ただ、違いについて説明する前に難しいプレーを選択するという判断について説明する必要があるだろう。まず、本山、エウレル両者が自らが選択したプレー、難しいプレーを成功させるだけの技術力を持っていると言うこと。勘違いしてはいけないのは、自分のできないプレーを連発するのはアホであり、自分の能力を最大限に生かしてチャレンジするのはプロであるなら避けられないことであると言うことである。この観点から両者は自分の能力を発揮するべくチャレンジをする、しかし、試合にはチャレンジするべき局面とマイボールを維持するべき局面があるのである。

エウレルが突破をはかる局面では突破が成功した場合、シュートに持ち込める可能性が高い。これはエウレルが自分が突破した場合にシュートを打てる場面で難しいプレーを選択しているからに他ならない。つまり、難しいプレーが成功する確率が20%であったとしても、そのプレーの成功時には80%の確率でゴールに結びつくという計算の元で20%のプレーを選択しているという事である。(サッカーで全く同じ局面が訪れることはあり得ないので確率はあくまで参考にしかならないが、イメージとして受け取って貰えればわかりやすいと思う。)

本山のプレーの最大の問題点は本山が難しいプレーを選択する場合、本山自身の成功率が例え50%であっても、そのプレーがゴールにつながる可能性が30%程度だと言うこと。本山は確かに上手い。数々のチャンスを作ってきたし、ゴールも決める技術を持っている。しかし、スタメンで出場して、チームに勝利をもたらすためには簡単なプレー(言い換えると成功率99%のプレー)を選択する局面と難しいプレーを選択する局面を使い分ける必要がある。本山はまだ仕掛けるべきでない局面、つまり例え難しいプレーを成功させたとしても簡単にはゴールにはつながらない局面においてまで難しいプレーを選択してしまっているのである。

この選択は仮にチームが負けている場面、パワープレーに出ていかないといけない場面では選択をせざるを得ない場合もあるが、90分間続けていたのではチームの攻撃がブチブチと寸断されてしまうのである。本山は自らの才能を発揮することでこれまではガンバ戦のように、そのようなプレーをしていても結果を残していた。プロは結果が全て。結果を残し、チームが勝利するのなら、どんなプレーをしようとも文句は言わない。しかし、必ずしもチームを勝利に導くまでの絶対的な能力を示すことも、チームを勝利に導くために十分な判断力もまだ身につけていないことを証明してしまった以上、批判を免れる事は難しい。

残念ながら、本山は今日の試合で3ボランチのトップ下をこなす能力がないことを証明してしまった。また、前節で2ボランチ(ボックス)で小笠原と組んでもチームを機能させるに至らなかったこと、もうチームはあとがなくなった現実を考えると、これまでの実績を踏まえてしばらくはスーパーサブとしてチームに貢献して欲しい。本山にまだプロフェッショナルな精神があるのなら、スタメン出場ではチームに勝利をもたらせない現実を受け入れ、自らのレベルアップに励んでくれるはずである。もし、スーパーサブが嫌だと言い出すのなら、その時はサポーターも黙っている必要はないだろう。チームを優勝争いにおいて一歩後退させた選手にわがままを許す必要はないのだから。僕は本山がスーパーサブとしてチームを1stステージ優勝に導き、再びスタメン出場への挑戦権を獲得してくれると信じている。